コモリーマン@Yoga好き❤️さんの書評 2026/05/18 1いいね!
沖縄の不都合な真実を読んで 最近起きた辺野古沖転覆事件から沖縄問題に興味を持ち、この本を手に取ってみた。 この本は、沖縄が抱える問題を多角的な視点からまとめた作品である。基地問題だけではなく、貧困や身分制社会についても紹介されており、それらが複雑に絡み合うことで発生している問題をわかりやすく説明していた。 最初に驚いたのは、沖縄は本土と比較して身分制社会の影響が強いという点である。その背景は江戸時代まで遡り、当時の人口における武士・貴族の割合は36%と高かった。その後の琉球処分や日米安保条約においても、沖縄県内の既得権益を持つ人たちの権力保護につながっていたという視点が紹介されていた。一見すると基地問題とは別問題に見える。しかし基地問題に反対することで、日本政府から妥協案として補助金などを引き出す、ある意味で基地問題をATMのように利用している側面がある。また、それらの補助金が一部団体に偏り、末端の県民にまで十分行き渡っていないことも問題として挙げられていた。だからこそ、基地縮小後に補助金へ依存しない展望プランを持つことが重要であると著者は主張していた。身分制社会という視点は、沖縄問題を考える上で非常に重要な視点の1つであると言える。 もう1つ驚いたのは、「沖縄総意」という考え方である。一見すると、自分たちの住む地域に対して一致団結した誇りある思想のように見える。しかし本書では、それが異論を許さない空気につながる危険性を指摘していた。実例として、上原正稔氏の「パンドラの箱」事件が紹介されていた。第二次世界大戦時の慶良間諸島における集団自決の実態をまとめた上原氏の記事に対し、琉球新報の対応が問題視され、裁判では上原氏が勝訴した事件である。 この話は、最近発生した辺野古沖転覆事件における琉球新報や沖縄タイムスの報道姿勢と非常に似ていると感じた。例えば、救助できなかった責任が海上保安庁側にあるような印象を与える報道、お亡くなりになった高校生を活動家側の仲間であるかのように扱う報道、ヘリ基地反対協議会側への責任追及が薄い点などである。仮に沖縄在住で、沖縄タイムスや琉球新報のみから情報を得ている場合、それらの主張だけを信じ、それに対する異論をデマだと受け止めてしまう危険性もあると感じた。 本書は沖縄問題を多面的にまとめた完成度の高い作品である。しかし出版が2015年であるため、現在の国際情勢において実現が難しくなっている内容(例:沖縄米軍基地削減)もあると思われる。最新の世界情勢を踏まえた続編を期待したい。今回発生した辺野古沖転覆事件をきっかけに沖縄問題を深掘りしたい人にとって、1つの視点を得る上で重要な作品であり、ぜひお勧めしたい1冊である。
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