さんの書評2026/04/11

リバタリアニズムを読んで

リバタリアニズムを読んで 本のタイトルに惹かれて手に取ってみた。この本はリバタリアニズムに関してまとめた1冊である。前半はアメリカ国内におけるリバタリアニズムの紹介及び位置づけ、後半はアメリカ以外の国のリバタリアニズムの紹介及び位置づけがまとめられていた。 前、後半ともに著者が実際に現地に赴いて取材した上の情報に基づいてまとめているため、ただ政策の違いだけではなく、リバタリアン、つまりリバタリアニズムの当事者についても紹介されていたため、より臨場感に溢れているように感じた。 前半で紹介されていたのは、リバタリアニズムがアメリカの特に若い世代で台頭してきた背景である。大学の学費ローン、雇用の不安定さなど社会的不安に対しての既存の政党(共和党・民主党)での対応における不信感、リバタリアニズムの思想(社会的にも経済的にも自由を重視し変革思考が強い価値観)への共感がその原因だ。現状で若い世代が主な支持層であるが、現在の若者世代が世代交代により社会の中心となり、その結果リバタリアニズムがマイノリティーからマジョリティーに変化した際、アメリカがどのような国になるのかは非常に注目するべき点である。ただ日本への影響として1つ大きなインパクトが挙げられるのが、日米安保への影響であると思われる。リバタリアニズムの1つの思想として最小国家が挙げられる。そのためアメリカが今までの合衆国から都市国家単位になってしまった場合、アメリカとしての意思決定が不安定になる可能性もある。そのため果たしてアメリカが日米安保条約に基づき、これまで通り日本にアメリカの軍隊を駐留して守ってもらえるかどうか疑問に挙げられる。軍隊など国家単位でしか対応できないものに関しては、これまで通り政府が取り仕切り、国家単位でなくても対応できるものに関して、リバタリアニズムを適用するのが理想的であると思われる。 後半で紹介されていたアメリカ以外のリバタリアニズムの例として中国が挙げられていた。ただ国家の方針に背くイデオロギーを掲げるのではなく、個々の政策に対して反論を取ると言う手法をとっている。各国の情勢に応じて手法を調整している点に関しては非常に興味深かった。 内容に関しては、世界各国のリバタリアニズムを現地に赴きまとめたルポライティング的な作品であった。そのため、特に何かを主張しているのではなく、事実ベースで淡々と記されていたため批評する点に関しては特にない。 リバタリアニズムと言う考えに興味のある人だけではなく、未来の世界がどのような社会になるかを考える上で1つの指針として参考になる作品として興味がある人にぜひお勧めしたい1冊である。

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