さんの書評2026/05/16

貧困と脳を読んで

貧困と脳を読んで タイトルに惹かれてこの本を手に取ってみた。この本は『最貧困女子』の取材経験及び著者自身が患った高次脳機能障害の経験をもとに、貧困と脳の相関を仮説ベースでまとめた1冊である。本書では、そのような脳を「不自由な脳」という新しい言葉で定義していた。これは、脳の認知・情報処理機能が低下することで仕事が困難になり、不安耐性が低くなることにより危機的状況への対処を先延ばしにしてしまうことで貧困につながると本書では紹介されていた。 所々に著者自身の経験及び過去の取材記録を見直した中で、新たに得た学びから考察される過程は非常に面白かった。また幅広い年代を対象とした貧困者から考察されているため、「不自由な脳」とは誰にでも起きる可能性のあるものということが主張されていたように思われる。ただ著者自身の経験ベースでまとめられた作品であり、あくまで仮説ベースの作品であるため、脳科学者などの意見及び検証試験のデータで補強すれば、さらに完成度の高い作品に仕上がったと思われる。 とは言え、生活保護受給者のユーチューバー紹介など、貧困者に対して寄り添う内容も紹介されている点は評価できるため、貧困や脳に対して興味がある方だけでなく、実際に現状貧困である方に対しても手に取っていただきたい作品である。

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