さんの書評2026/04/13

反脆弱性を読んで

反脆弱性を読んで タイトルに引かれて、この本を手に取ってみた。この本は著者であるタレブ氏の名著である。ブラックスワンで提示された問題提義に対しての1つのアプローチである反脆弱性の考え方を紹介した作品である。内容は、不確実な世の中においては、あらゆる事象に対して反脆弱、頑健、脆弱(トライアド)を見極め、脆弱なものを反脆弱なものにできる限り移転させ、試行錯誤を繰り返して生きていくという考え方を示した作品である。 あくまで思考法を紹介した作品であるため、細かいロジックの体系的説明は限定的である。実用書というよりは思考の枠組みを提示する作品である。またバーベル戦略など本書特有の専門用語が多く、理解する上で難易度は高い。読み方として本書は上下2巻に分かれているが、下巻の付録で本書に登場するキーワードが解説とともにまとめられているため、付録と併読しながら読み進めることが有効である。 本書で紹介されたトライアドの考え方は非常にユニークである。特に反脆弱の概念は、不確実な環境のもとで予測に頼らず意思決定を行うための指針として興味深い。ただ気になった点は、試行錯誤を繰り返すための前提条件として「何度でも試せる環境」が暗黙的に置かれている点である。現実には試行にはリソース制約が伴うため、試行回数は有限である。本書ではこの点について明確な整理はなされていないため、実現可能性の観点では適用範囲は限定的である可能性がある。個人レベルに落とし込む際には、この制約をどのように扱うかが課題となる。 本書は不確実性の高い現代を生きる上での思考の枠組みを提示する一冊である。将来に不確実性を感じている人にとって示唆を与える作品である。

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