さんの書評2026/04/25

運動脳を読んで

運動脳を読んで 著者であるアンデシュ・ハンセンに興味があり、本作品を手に取ってみた。 この本は運動が脳に与える影響を科学風の論述を用いてまとめた1冊である。著者の主張は運動することにより脳に良い影響があるということである。具体的には、集中力が増し、気持ちが晴れやかになり、不安やストレスが減り、記憶力が向上し、創造性が増し、知性が高まるという点である。 しかし本書で紹介されている脳への影響を示した検証試験において以下の点で疑わしい点がある。 1.エンドポイント、症例数の記載がないものがある。(例 5章 動作を習得するメカニズムに運動が与える影響についての調査) 2.再現性の検証がない(例 7章スウェーデンの1,200,000人を超える男性の兵役検査 スウェーデンのみで他の国での兵役検査の結果検証の紹介がない) 3.紹介した調査をまとめた論文の紹介がない 本書で紹介されていたすべての試験、調査がこれに該当 1.2に関しては、書籍分量の制限による都合により省略されたという解釈もできる。しかし紹介した調査をまとめた論文紹介がないことに関しては調査計画及び試験デザインの妥当性を確認する上においては致命的であると言える。仮に参考文献としてまとめるページが取れなかったとしてもwebページでまとめ、そのページのリンクをQRコードで掲載すれば、本書においての対応は1ページのみの追加で事足りると思われる。 本作品でもそうだが、著者であるアンデシュ・ハンセンの脳シリーズに関して、著者の主張を補強する調査結果及び試験結果をまとめた論文の紹介がないのは問題があると思われる。(そういう理由で私はあえて本書の紹介で、「科学的」ではなく「科学風」と言及した)。とは言え全面的に彼の主張を否定するエビデンスは存在しないので、1つの仮説として受け止めた上で本書を読むことをお勧めする。科学風の娯楽に対して興味のある方にお勧めしたい1冊である。

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