いはゆるヴードゥーの本である。 ハイチ他で、ああいふアフロ文化がいかに発生したか、が書かれる。 アフリカの真ん中辺の様々な文化圏、とその習俗、の彼らがいかに引っ張ってかれたか、もかく。そのヴードゥーの成立に関し、故地が既にキリスト教やイスラムの傳播を受けてゐた旨と、土着の皆さんはさういふのを「まともな宗教」と認めるに当たり、モーセの奇跡を聴いてさう判断した、といふ経緯と、仏教で言ふ「本地垂迹」のやうな、黒人のロアが守護聖人になったといふ点と「ロアを表向き「カトリックの守護聖人」と言ひ張る」部分を解く。そして、ハイチに先住民族がをって、といふのと、スコットランドからの移民他によりヴードゥーのロアと呼ばれるものに「アフリカのフォン族の信仰体系」以外の皆さんが結構をるといふのを紹介する。 カリブ海っつうか北米の黒人が拝んでるやつ、ミャルとかオービアとかなんかといふ細かいのの他、「お宗旨が別」といふ非ヴードゥー系のに頁が割かれる。しかも両方の信徒は相手を邪険にしてないので、両方で同じ神様を拝んでをる。うぉー。さらに、ブラジルでは、普通の黒人宗教、キリスト教の他、「なんか怪しい宗教」があることになってをり、それの被害や「守護聖人への祈りの成就への御礼を怠った」罰を、日本の宗教が何とかするといふのも紹介される。 さういふ関係で、キューバに関する皮肉と理不尽の歴史がびゃっと出る。ここでは、抵抗する秘密結社といふ解りやすいのから、ヴードゥー、に「スペイン人が興味を持つ」サンテリアといふの、それに纏はる運命の嫌みにまみれた経緯が出る。さういふ訳なので「ネイティヴの発音」が「スペイン語訛り表記」でといふのが書かれる。 その、スペイン人がアフリカの真ん中辺を「発見」し、原住民の豊かな文化を「アトランティスの末裔の」如しと評したとか、USA南部の黒人メイドがアフリカン文化を継承し傳へたとか、アフロアメリカンに関する記述は良い。あと南北戦争の悲劇も書く。 その辺を調べると、「ラフカディオ・ハーン」といふ人が書いた資料が出る。アメリカとかで苦労して黒人と結婚もした小泉八雲先生が、西インド諸島で静養してた際に、後の日本での如く(多分)、黒人の文化を分析し収集してをったのを引き、「ゾンビ」といふ複雑な言葉はどういふものかを解く。本著では一応、「アフリカン文化で「幽霊」「甦る死者」信仰はない」と何回も言ひつつ、ゾンビ系の名前を「甦る死者の如く恐るべき」とか書く。 軽妙な文体と対象に関するアプローチはいい感じ。あとカポエィラとかバトゥーキとかの関係も書かれる。
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